MoonShot
ムーンショット×タイフーンショット
タイフーンショットMS
ムーンショット型
研究開発事業
目標8 コア研究
「安全で豊かな社会を目指す台風制御研究」
「台風制御」構想がムーンショット型研究開発に正式採択
タイフーンショット構想の一部である「台風制御」は、実現を目指し動き始めました。
ムーンショット目標8「2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現」の中の研究開発プロジェクト(コア研究)の一つ、「安全で豊かな社会を目指す台風制御研究」のPMに、筆保弘徳 台風科学技術研究センター長が選ばれ、2022年5月にプロジェクトが正式に決定、7月より実際に研究が始まっています。
◆ムーンショット型研究開発制度とは
「ムーンショット(Moon Shot)」とは、前人未到で非常に困難だが、達成できれば大きなインパクトをもたらし、イノベーションを生む壮大な計画や挑戦のこと。 「ムーンショット」という言葉は、アメリカ合衆国の第35代大統領ジョン・F・ケネディ氏が月にロケットを打ち上げる「アポロ計画」のスピーチのなかで言ったフレーズに由来します。日本でも、この「ムーンショット」という言葉を使った国家プロジェクトが始まっています。それが内閣府が取り組みを開始した「ムーンショット型研究開発制度」です。ムーンショット型研究開発制度は、我が国発の破壊的イノベーションの創出を目指し、従来の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を、司令塔たる総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の下、関係省庁(内閣府、文部科学省、経済産業省が中心)が一体となって推進するべく平成30年度に創設された制度です。平成30年度補正予算で1000億円の基金が造成され、令和元年には補正予算で150億円が計上され、基金運営により最大10年間の支援を可能としています。「ムーンショット型研究開発制度」には以下の目標があります。
目標1.2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
目標2.2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
目標3.2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現
目標4.2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現
目標5.2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出
目標6.2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現
目標7.2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
目標8.2050年までに、激甚化しつつある台風や豪雨を制御し極端風水害の脅威から解放された安全安心な社会を実現
目標9.2050年までに、こころの安らぎや活力を増大することで、精神的に豊かで躍動的な社会を実現
この目標8で横浜国立大学筆保弘徳教授をPM(プロジェクトマネージャー)とする「タイフーンショット構想」の一部がコア研究として採択されました。
筆保PMからのメッセージ
2022年3月、ムーンショット型研究開発事業に、我々のタイフーンショット構想を基にした研究提案が採択され、目標8コア研究「安全で豊かな社会を目指す台風制御研究」
(通称タイフーンショットMS)としてスタートしました。
この「ムーンショット」という言葉は、米国で行われたアポロ計画(1961-1972)の時に流行した言葉で、「壮大で、実現することで大きなインパクトをもたらす挑戦的な目標」という、挑戦を応援する意味を持ちます。しかし、あまり知られていない事実ですが、この「ムーンショット」は1969年に月面着陸が成功する前から存在した言葉で、それまでの言葉の意味は今の意味と全く異なります。「真上の月を狙って鉄砲を撃つことは、無駄でもあるし危険な行為」。つまり、愚かな挑戦やそれをする者を指していたようです。アポロ計画も、当初は愚かな計画と思われていたのかもしれません。
しかし、そのような愚かな挑戦が結実した時、世の中の常識とともに、これまでの言葉が持つ意味までも変えてしまいました。奥山(2010)*は語ります、「何かを成し遂げよう考えている人間にとって「ムーンショット」は最高のロマンである」。まだ私が研究者として何かを成し遂げたいと考えていて、さらに頭も手も動かせるこの今、ムーンショットを冠する計画に携われたこと自体に幸せを感じています。そして、チームの仲間とともに、最高のロマンを楽しみながら、常識を覆すような研究成果を出したいと意気込んでいます。
*奥山清行著「ムーンショットデザイン幸福論」
筆保 弘徳 PM(台風科学技術研究センター長)
プロジェクトの概要
地球温暖化に伴いその激甚化が予想される台風について、2050年までに現実的なインフラを超える外力部分を制御し、台風の脅威から解放された社会の実現を目指して、台風の制御理論と要素技術を開発することを目的とする。本研究では台風の内部構造まで再現する数値モデルを開発し、高精度予測とそれに基づく災害予測を行い、制御すべき外力部分を明確化して数値実験によって仮想制御を行う。さらに制御の全球や社会への影響予測を行う。入力値として高精度データを航空機、船舶、および衛星から取得する。これらの観測のデータ同化法や感度解析などの数理研究を行う。制御技術開発では台風の雲改変、海水温調節、船舶による風減衰などの技術開発、数値実験、室内実験、無人機開発、船舶設計を行う。船舶研究では台風エネルギー回収を目指す。また、上記研究に不可欠な、国内外の合意形成や社会受容性などのELSI課題について検討を進める。
タイフーンショットMSメンバー
(五十音順・課題推進者名をクリックするとメンバーが表示されます)
気象学的アプローチ
萱場摩利子(名大)
Chen YingWen(東大)
Roh Woosub(東京海洋大)
幾田泰酵(気象研)
伊藤純至(東北大)
大野知己(東大)
笠見京平(東大)
久保田拓志(JAXA)
研究員A(東大)
児玉真一(東大)
沢田雅洋(気象庁)
嶋田宇大(気象研)
竹見哲也(京大)
辻野智紀(気象研)
田殿武雄(JAXA)
松岸修平(東大)
宮川知己(東大)
伊藤耕介(琉球大)
伊藤純至(東北大)
井上興治(海ロマン)
木村塁(横浜国大)
清原康友(横浜国大)
藤本康孝(横浜国大)
細木隆史(横浜国大)
堀之内武(北大)
満行泰河(横浜国大)
山口颯太(横浜国大)
吉岡大秋(横浜国大)
吉田龍二(横浜国大)
石川里桜(筑波大)
折笠成宏(気象研)
梶川友貴(筑波大)
梶野瑞王(気象研)
去田尚悟(弘前大)
田尻拓也(気象研)
筆保弘徳(横浜国大)
宮本佳明(慶応大)
村上正隆(横浜国大)
伊藤耕介(琉球大)
岡本幸三(気象研)
嶋田宇大(気象研)
辻野智紀(気象研)
博士研究員A(北大)
相澤正隆(琉球大)
幾田泰酵(気象研)
嶋田宇大(気象研)
堀之内武(北大)
南出将志(東大)
博士研究員B(琉球大)
工学的アプローチ
影響評価
荒木裕次(京大)
飯田康生(京大)
大西正光(京大)
佐山敬洋(京大)
志村智也(京大)
中野元太(京大)
西嶋一欽(京大)
廣井慧(京大)
特任研究員A(東大)
篠原瑞生(東京海上研)
多嘉良朝恭(あいおいニッセイ同和損保)
西嶋一欽(京大)
小玉知央(JAMSTEC)
中野満寿男(JAMSTEC)
菱沼美咲(横浜国大)
山田洋平(JAMSTEC)
ELSI
阿部未来(横浜国大)
伊里友一朗(横浜国大)
小林知恵(横浜国大)
橋田俊彦(横浜国大)
筆保弘徳(横浜国大)
米村幸太郎(横浜国大)